管理社会VSシーフードカレー

いくつもの時代にわたる管理社会とシーフードカレーの戦いを描いたオムニバス映画です。

好きだったK君の失踪について

今まで自分の仕事に関しては一切言及してこなかったが、現在、冷凍ピザの工場でアルバイトをしている。特に説明すべき理由はない。ただ、色々なところでうまくいかなくて、今ここに流れているだけの話だ。 では、なぜ仕事の話をしようと思ったのか。それは、…

イノセントなポテト

マックでフィレオフィッシュのセットを注文した。 店員の女の子が「サイドメニューはポテトでよろしいでしょうか」と、事務的過ぎるあまりかえって究極の無垢とも思える表情で訊いてきた。 セットのサイドメニューはポテトであるという暗黙の合意が、連綿と…

もう一度BUDDHA BRANDに出会えたら

BUDDHA BRANDの『人間発電所』を聴く度に「ああ、もう一度初めて聴いてみたいなあ」という思いに駆られる。 初めて出会ったのは、確か19歳の頃だった。当時おれが知っていた日本語ラップアーティストといえばRHYMESTERやキングギドラやKICK THE CAN CREWやス…

物語にしたかった昨日たち

ビールを飲んでいたら突然回文を作ってみたい欲求に駆られ、引き出しから汚いメモ帳を取り出した。ページを開くと、警備員時代に書き記したアレコレがミミズの字で残されており、つい目に留まってしまった。引っ越しのための荷物整理をしていたら、長らく存…

ダニエル・キイスの卵豆腐

眠りの浅瀬に立って、無意識の海に身を沈めようとしているその瞬間、突然天啓を授かることがある。何だったんだ、今のは、と思う。記憶に留めておきたいと思う。でも、ものの数分で、別の考え事や俗世の喧騒にかき消されてどこかに忘れてきてしまう。 ところ…

痺れる舌

トリスのウイスキーをロックで飲む。 おれは、味の違いも分からないくせに「やっぱり安い酒だな」と思う。 トリスは、おれの気持ちも知らないくせに「お前も安い人間だけどな」と思っている。

ヘミングウェイに挨拶だけして帰る

例外の時期はあれど、基本的に、あまり勉強が出来ない子だった。 大まかな成績分布で言えば、中の下くらい。何かが飛びぬけて優秀だったぶん、他のどこかの領域が壊滅的だったというわけでもなく、ただ、全体的に「ぼんやりと」低成績だった。要するに、メリ…

気まぐれジン・トニック

あるアーティストのある曲の素晴らしさを讃えたくなってキーボードを叩き始めたのだけれど、書きながら飲もうと思っていたジン・トニックがあまりにも美味すぎて、書く気が失せてしまった。 なので、ジン・トニック的気分について、急な思いつきで書いてみよ…

他人、アルコール、松本人志

ビールやウイスキーを乱暴に飲んだせいか、今、ひどく頭が痛む。 6時間前、ハイネケンを飲みながら、DVDでダウンタウンのコントを見ていた。 途中までは痴呆みたいな顔をして笑っていたのに、動物園のネタが始まったあたりで、突然、ありとあらゆる不安と焦…

目覚めても虚構

池袋の新文芸坐でイングマール・ベルイマンの映画を観た。この監督の映画は以前にも観たことはあったが、正直なところ、特別好きというわけではない。 ただ、映画が観たかっただけだ。 「映画を観に行く」という行為はまあまあ好きだ。そのくせ、「映画」そ…

ジム・ビームを隔てた彼女。

803号室。 しらすのペペロンチーノ。 ドアーズ。 共産党宣言。 矢口書店。 恋する惑星。 救世軍。 ゲイリー・オールドマン。 靖国通り。 名前つきの歯ブラシ。 優雅で感傷的な日本野球。 夜と霧。 めくらになって夢を見る。 黒塗りの街宣車。 なぜこんなに生…

監視社会VSシーフードカレー

インフルも峠を越してだいぶ体が楽になった。まだ微熱が残っているけど、平熱に戻ったところでどうせ数日は職場に復帰出来ないのだから、せっかくだし、生活を楽しもうと思った。 なので、冷凍エビを使ってシーフードカレーを作った。 「生活」とは「シーフ…

毒矢とインフル

やたらスケールのでかい風邪だな、もしや。と思い病院で検査したら、案の定インフルエンザに罹患していた。 インフル大流行が騒がれている中で感染するのは、いくらなんでも芸が無さ過ぎる。つまらない。凡庸だ。せめて8月真っ盛りにかかっておけば非凡を気…

出来損ないの兄弟を捜して

まどろっこしさの回避のために本題をド頭に配置するが、今回も、過去なんやかんやあってフォルダの片隅に押し込められていた文章を供養してやりたいと思う。正直供養というよりは、最後の審判のために墓場から叩き起したみたいだけど。 まあ、地獄の業火に灼…

突如としておれに訪れた吉田美奈子ブーム

車窓には、上野の夜景。おれの網膜には雑多な街並みが流し込まれ、そのぶん押し出されるように、吉田美奈子は別れも告げず去っていった。……。文末っぽいことを冒頭に書けばなんとなく都会的カッコよさが漂うと思ったけど、特にそんなことなかったぜ。ところ…

デヴィッド・ボウイがビーフィーターを飲む

池袋の新文芸坐でニコラス・ローグの『地球に落ちて来た男』を観てきた。 二本立てで同監督『美しき冒険旅行』も上映していたが、すぐにケツが痛くなってしまったので一本だけ観て帰った。『美しき…』は前に観たことあるし、まあいいかな、という気持ちで(そ…

あれから少し経って

公演を終えてからの初めての睡眠から目を覚ました時、ああ、戻ってきたな、と実感した。日常とか、現実とか、俗世とかなんとかに。 朝に寝て昼過ぎに起きたもんだから、まともに眠れた気がしない。そのくせ夢だけは妙に鮮明で、公演どころかこれまで約半年間…