管理社会VSシーフードカレー

いくつもの時代にわたる管理社会とシーフードカレーの戦いを描いたオムニバス映画です。

2019-01-01から1年間の記事一覧

Jの波浪にのせられて

朝起きたらすぐにJ-WAVEのラジオをつけて、洗濯やら皿洗いやら軽い掃除やら弁当の準備やらを2~3時間かけて済ます。そうして仕事に行く。もちろん朝食は欠かさない。それがここ最近の朝のルーティンだ。夜は休眠、朝に用事で調子保持。 さて、そのJ-WAVE。き…

峻別からはじまるもの――または、もう孤独なのかも!

実家のマンションの近くに、小さな保育園がある。 ちょうど一年前、近所の川沿いで職員さんの名札が落ちていたのを発見して、それを届けに行った。そのときお礼を言ってくれた保育士さんの溌剌とした笑顔が良くて、お世辞にも整った容姿のひとではなかったけ…

ぼくの傘を持っていかないでください

神田にある小さなラーメン屋で豚骨ラーメンを食べた。雨ふりの午後二時過ぎ、いくらか遅めの昼食だった。 替え玉を一玉だけおかわりし、スープは少し残す。そうして小さくごちそうさまと言い、席を立つ。出口で傘立ての傘を取ろうとする。 しまった。 おれの…

『管理社会VSシーフードカレー』ゴールデン★ベスト(Disc1)

非正規労働者というのは、ほんとうに、悲しくなるくらいに弱い身の上なのだと思う。つくづく。 また仕事の話をするのか、と自分でもげんなりする。ブログ概要には一応おれが劇団活動にも身を置いていることも明記しているはずなのに、劇団の話なんてぜんぜん…

わからないのはわかったからさ、とりあえずおれを赤ん坊にしてくれ

なぁにが戦争反対じゃ。毎朝毎朝あの殺気漂う満員電車に性懲りもなく乗り込んでる時点で既にもう戦争に行ってるんだよあんたらは。ほんとうに戦争したくないのなら、いま一度己の「生きる」をたまねぎ剥きながら問い直してみやがれよ。 どうもはじめまして。…

コンビニ脇の国境線にて

工場での仕事を終えた帰り道、コンビニの脇で二人の中年男が口論していたのを見かけた。風貌からしてどちらもブルーカラー労働者のようだった。きっと同じ会社の同僚同士なのだろう。 二人の会話の内容を仔細に聞いたわけではなかったが、その言葉のやり取り…

ノー・モア・ペイン・トゥナイト(辞表の正しい提出作法)

編プロで働いていた時期のこと。同期で同い年だったTと、帰りのエレベーターでこんな会話をしていた。最初に口を開いたのはTだった。 「三連休だな、明日から」 「うん」 「なんか予定あんの?」 「特には」 「おれ東京ドーム行く。横浜戦」 「いいじゃん」 …

適応が不得手な非正規雇用のおじさんよ

おれの働く工場が増産体制に移行してからというもの、ぞろぞろと新人バイトさんが採用されるようになってきた。毎日のように誰かに新しいことを教えながら仕事を進めているので、すでに手馴れた作業でも普段の1.5倍は労力を要しているような感覚である。 と…

せんたくもののうた(さくし:くれおぱとらの74ばんめのどれい)

ちゃーちゃーちゃーちゃーちゃーちゃちゃー (なんだかいいわね) ぱーらーぱーぱーぱーららー (けっこういいわね) たーらーらーらーらーたーたーたーたーららー (あんがいいいわね) ぴゃーらーらーらーらーぴゃーらーららーらー (とってもいいわね) わたしの…

病人が川沿いを歩いたって青春の殺人者にはなれない

週末から風邪をひいて、休日は床に伏していた。月曜日の今はわりに調子が良い。当然だろう。白血球に気長な仕事をさせず、おせっかいなキャッチコピーの市販薬で症状を黙らせたのだから。 その甲斐(?)があってか、おれの身体は風邪の斥候隊だけを排除しただ…

この世界では誰かが振られると、大瀧詠一は死に、三浦大輔は打たれる

ある女の子をデートに誘おうとしたら、秒速でそっぽを向かれてしまった。最初の一回くらいは多少気に入らなくても付き合ってくれたっていいじゃないか。なんだよ。 仕方がないので、溜め息を吐きながら池袋のガールズバーで呑んだ。大丈夫、失恋までは少なく…

晩夏とハイライト

彼のシャツの胸ポケットからは、いつもハイライトが頭をのぞかせていた でも彼がハイライトを吸うのは、火をつける最初の一口だけ あとはずっと、指で挟んでいるか、灰皿のくぼみにそっと寝かせている ねえ、どうしていつも火をつけるだけで吸わないわけ? …

アメ玉をくれる清掃のおばちゃんは今日も静かに世界と人間を繋ぎ止めている

同じ工場で働く清掃のおばちゃんからアメ玉をもらった。辛さがほんのりと舌に刺さる、生姜風味ののど飴だった。 清掃のおばちゃんからアメ玉をもらうと、とても安心する。愛と違って、親切は確固としているから負けない。安心するということは、負けないもの…

視線にまつわる些事(EIICHI OHTAKIはこのようにして聴かれた)

渋谷は、23時。 道玄坂の猥雑なバーで腐りながらビールを胃に流し込んだその帰り道、駅前のTSUTAYAに寄ってぶらぶら歩いた。 おれは2階のCDフロアで、大滝詠一のコーナーを目指していた。特に意味はない。頭が雲っていたのだから。 回っても回っても、邦楽の…

行きどころのない話の話

行きどころのない話というのは、正直なところあまりウケない。特に異性には。 落としどころの見当もまったく付かぬままくどくどと内心を吐露し、話を何度もぐるぐるさせ、同情も共感も助言も叱咤も立ち入らせず最後には相手に「うーん、それって難しい問題だ…

中道

明け方に目が覚めたら、親知らずの周囲の歯肉が大きく腫れ、脈打つように痛みが響いていた。 歯医者に行くために職場への出勤時間を遅くさせてもらおうと考えたけど、せっかく(?)なので、適当な理由をつけて丸一日仕事を休むことにした。半仮病というわけだ…

方向性、品行方正高校生、山崎邦正立法せい

なんのこっちゃとお思いかもしれないが、実は、母音がかなり一致し、子音も一部重複した単語を短歌っぽいリズムで並べてみたのだ。 だからどうしたと言われてしまうと、それまでだが。

クァイ・ヌェイの山

前職は、小さな編プロでライターまがいの仕事をしていた。おれとしてはおれなりの誠実さで執筆や雑用に取り組んでいたつもりだったが、結局十分な経験も得ぬまま、心身を損なった末、会社を去ってしまった。うまく言えないが、あの空間はおれにとっての「瘴…

輪廻と減量の物語、そして呪い

いろんなひとに吹聴している話だから、この場でも臆面なく自慢しよう。 おれはかつて、ダイエットを成功させたことがある。約20kgの減量を成した。最も肥満体だった時期は18~20歳の頃で、身長183cmに対して、体重はちょうど90kg。そこから減量活動を敢行し現…

「ナメんな」っていうと「ナメんな」っていう。こだまでしょうか、いいえ、ケンカです。

「もうそこそこ慣れているつもりだけど、やっぱりどこか至らない点というか、自分の欠点や不得意に気づけないところってあると思うんだよ。だからもしおれにダメな部分があったらさ、そこは遠慮なく言ってほしいんだよね」 そう言えるひとと、言えないひとが…

ときに「死」と呼ばれる、恒久的不在のはじまりについて

同じ劇団のメンバーのひとりが、稽古中の手持ちぶさたな時間に(だらしない劇団である)、なぜか手紙を書き始めた。中学(高校?)の演劇部で一緒だった友達に送るらしい。 便箋を取り出してペンを走らせた彼女は、当今においてあえて手書きのメッセージを綴るこ…

地上の愚者、川底の賢者

現在間借りしているアパートから少し浅草方面に歩くと、そこには隅田川が横たわっていて、嬉しい出来事があったときや、やりきれない思いに駆られてしまった日の夜には、川沿いの鉄柵に身体をあずけて水面を眺めたりする。子供の頃もよく川に足を運んで、当…

アホアホ議会制民主主義2019(参院選にあたって)

『ポリタス』に今回の参院選の政見放送の書き起こし記事がアップされていたので、とりあえず全政党分を読んでみた。 投票には今回も行く。そして月並みだけど、色々思った。ここに何か書いてみようかとブログを開いたものの、どの切り口から書こうとしても頭…

夢に眠る現実と私

その日、井上ひさしと夕方の4時に食事の約束をしていた。待ち合わせ場所に向かうおれだったが、そこであることを思い出した。 そうだ、同じ時間に松田優作とも食事の約束をしていたのだった。 ダブルブッキングだ。 途方にくれたおれは、小学生の頃よく通っ…

こころを病むことについて

またバイト先の工場の話をする。 おれとほぼ同年代の社員で、Oさんというひとがいる。 大学から新卒で入社し、現在工場に配属されている社員のなかではわりと新参のほうだ。 おれがこの工場で働き始めた頃にはまだOさんにも新人のオーラがびんびんと漂ってい…

ヘイトスピーカーたちは自らの過去に何を置いてきてしまったのか

去年の12月、天皇誕生日のことだった。その夜、おれは神保町のさくら通りでこんなひとたちとすれ違った。 そのひとたちは、男ふたり女ひとりの三人組で、ぱっと見、40代か50代くらいの年齢だった。 各々の手に握られていたのは、日の丸の国旗、メガホン、何…

ブラック企業とか、転職とか、生きる力とかについて

おれの働く工場に、新入社員Nさんがやってきた。中途採用だ。 かなり細身の男で、歳はおれと同じくらい。言葉遣いは丁寧だけど、語気がやや角ばったしゃべり方をする。それに遊びのない黒縁メガネも相まって、堅物っぽい印象さえも受ける。でも、腰も低いし…

誰かに向けた生存報告

このブログのことをすっかり忘れていた。 嘘だ。忘れてなんかいない。 夢の中のおれはまだ高校生で、授業をさぼり、屋上で雲を眺めながら慣れないタバコをふかしていた。

善良な時給労働者の10連休

GWといえば、旅行。旅行といえば、海外。平成最後の連休開始日、今日の成田空港は出国者で大混雑です。 まーーーーーーーーーおれにはカンケーないけどね!!! 収入の賃金依存度100%かつ時給労働者のおれには、勤め先の工場が全日非稼働なおかげで初夏にも…

火のついた猿のことば(ファックに読もうぜ好兄弟)

文体。 作家の個性やクセをあらわす数多くの要素の中でも、この『文体』というやつは真っ先に目につく。そりゃ当たり前だろう。野球をほとんど知らないひとでもピッチャーの投球フォームの違いがわかるように、普段本をあまり読まないひとにも、ある作家とあ…